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TCR Advanced Pro1Discは乗りにくい?理由と対策まとめ

こんにちは。電動自転車は究極のママチャリである、管理人の「yuri」です。

憧れのカーボンロードバイクであるGiant TCR Advanced Pro 1 Discですが、ネットで検索すると乗りにくいとか疲れるといったネガティブな評価を目にして不安になっていませんか。決して安い買い物ではないですし、買った後に後悔だけはしたくないですよね。実はこのバイクにはレース機材特有の尖った特性があり、それが一般的な感覚とは少しズレていることが原因かもしれません。

今回はそんなTCRの本当の評判やインプレについて、私なりに深掘りしてみました。

ポイント

  • TCR特有の鋭敏なハンドリングが生むメリットとデメリット
  • フックレスリムや空気圧管理など運用上の注意点
  • タイヤサイズやパーツ交換で乗り心地を劇的に変える方法
  • このバイクが本当に自分に合っているかの判断基準

TCR Advanced Pro 1 Discが乗りにくい理由

TCR Advanced Pro 1 Discが乗りにくい理由

プロも使うようなレース用バイクって、やっぱり普通の自転車とは設計思想が全然違うんですよね。ここでは、なぜTCRが一部で「扱いにくい」と言われてしまうのか、その構造的な理由を紐解いていきます。

ポイント

  • 鋭敏なハンドリングとジオメトリの特性
  • Defyとの比較で見る直進安定性の違い
  • 高剛性フレームによる振動と疲労の蓄積
  • フックレスリムのタイヤ互換性と制約
  • 厳しい空気圧制限と運用上の難易度

鋭敏なハンドリングとジオメトリの特性

まず最初に、TCRというバイクがどういう目的で作られているかを理解する必要があります。結論から言うと、このバイクは「レースで勝つこと」、具体的には「誰よりも速く坂を登り、誰よりも速く加速すること」に特化して設計されています。その設計思想が最も色濃く出ているのが、フレームの設計図とも言える「ジオメトリ」です。

特に注目すべきなのが、「チェーンステー」と呼ばれる、ペダル(BB)から後輪の中心までの距離です。

チェーンステー
チェーンステー

TCR Advanced Pro 1 Discのチェーンステー長は、なんと405mmしかありません。一般的なディスクブレーキ搭載のロードバイクが415mm〜420mm程度であることを考えると、これは異常なほど短い数値なんです。

この「短さ」が何をもたらすかというと、ペダルを踏み込んだ時のパワーが後輪に伝わるまでのタイムラグが極限まで減るんです。例えば、信号待ちからのスタートダッシュや、急な上り坂で立ち漕ぎ(ダンシング)をした時、バイクが自分の体の一部になったかのように「スッ」と前に出る感覚。これは一度味わうと病みつきになるレベルの快感です。まさに、背中を押されるような加速感が味わえるんですね。

しかし、このメリットは諸刃の剣でもあります。ホイールベース(前輪と後輪の間隔)が短くなることで、バイクの挙動は極めて「クイック(機敏)」かつ「ナーバス(神経質)」になります。

具体的に言うと、ハンドルをほんの数ミリ切っただけで、あるいはライダーが少し重心をずらしただけで、バイクは即座に反応して曲がろうとします。レースの集団内で隙間を縫って走るようなシーンではこれが強力な武器になりますが、のんびりとサイクリングを楽しみたい一般ライダーにとっては、「常にハンドルを修正し続けないといけない」「ちょっとよそ見をしただけで車線からはみ出しそうになる」という不安定さにつながります。

私自身も初めて乗った時は、「あれ?なんかふらつくかも…」と感じました。特に疲れてきて体幹がブレ始めると、そのブレがそのままバイクの挙動に出てしまうので、乗り手に「常に集中すること」を強いるバイクなんですね。「乗りにくい」という感想が出てくるのは、このレーシングカーのような鋭敏すぎる反応性が、リラックスした走行を妨げてしまうからなんです。

Defyとの比較で見る直進安定性の違い

「じゃあ、Giantのロードバイクはみんなそんなに神経質な乗り味なの?」というと、決してそんなことはありません。GiantにはTCRと双璧をなすもう一つの名車、「Defy(ディファイ)」というエンデュランスロードが存在します。この2台を比べることで、TCRのキャラクターがより明確になります。

比較項目TCR Advanced Pro (レーシング)Defy Advanced (エンデュランス)
開発コンセプト登坂性能と加速力の最大化 (勝つための機材)長距離を快適に走破する (楽しむための機材)
ホイールベース980mm (Mサイズ) 非常に短い。旋回性が高いが、直進安定性は低い。995mm (Mサイズ) 長い。直進安定性が高く、手放し運転ができそうなほど安定。
トレイル量57-58mm ハンドリングが軽い。低速ではふらつきやすい。60mm以上 ハンドリングが穏やか。直進に戻ろうとする力が強い。
乗車姿勢深い前傾姿勢 ハンドルが低く遠い。アップライトな姿勢 ハンドルが高く近い。

表を見てもわかるように、Defyはホイールベースを長く取ることで、「直進安定性」を重視した設計になっています。イメージとしては、TCRが「F1マシン」なら、Defyは「高級セダン」のようなものです。

Defyに乗ると、ある程度スピードが出ていれば、バイクが勝手に真っ直ぐ進もうとしてくれる感覚があります。これを「レールに乗ったような感覚」と表現する人も多いですね。横風が吹いても、路面が少し荒れていても、バイク自体がどっしりと構えてくれるので、ライダーは余計な力を使わずに済みます。

一方でTCRは、その「どっしり感」を削ぎ落として、「軽快感」に振っています。例えば峠道の下りカーブなどで、自分が「曲がりたい」と思った瞬間にバイクがパタンと倒れ込んで旋回を始めてくれる感覚はTCRならではの快感です。

しかし、直線のサイクリングロードを淡々と走るようなシチュエーションでは、この特性が仇となります。路面のちょっとした継ぎ目や横風の影響をダイレクトに受けて進路が乱れやすいため、ライダーは無意識のうちに微修正を繰り返すことになります。

これが長時間のライドになると、「なんかTCRって疲れるな…」「気が抜けないな」という「乗りにくさ」として感じられてしまうのです。自分の乗り方が「ゆったりロングライド派」なのにTCRを選んでしまった場合、このギャップに苦しむことになるかもしれません。

高剛性フレームによる振動と疲労の蓄積

次に「乗り心地」についてお話しします。よく「TCRは硬い」と言われますが、これは決して比喩表現ではなく、物理的にフレームが硬く作られているからです。

https://twitter.com/roadbike_man/status/1806865348685353104

TCR Advanced Proシリーズに使われているカーボンフレームは、プロ選手が本気でペダルを踏み込んでもフレームがねじれないよう、非常に高い剛性を持たせて設計されています。特に「PowerCore」と呼ばれるBB周辺や、「MegaDrive」と呼ばれる極太のダウンチューブは、ガチガチに固められています。これにより、私たちが一生懸命漕いだパワーが、ロスなく推進力に変わるわけです。

ですが、この「パワーを逃さない剛性」は、裏を返せば「路面からの衝撃も逃さない」ということになります。

アスファルトの表面は、一見綺麗に見えても細かな凹凸(マイクロバイブレーション)が無数に存在します。エンデュランスロードのDefyなどは、フレームの一部をわざとしならせることでこの微振動を吸収するのですが、TCRはそのような「しなり」を最小限に抑える設計思想です。その結果、路面のザラザラとした感触が、減衰されることなくそのままハンドルやサドルを通じてライダーの手やお尻に伝わってきます。

インフォメーションか、ノイズか

レースにおいては、このダイレクトな感触は「路面状況が手に取るようにわかる」という重要なインフォメーションになります。「あ、ここ滑りそうだな」とか「路面が荒れているな」という情報を瞬時に感じ取れるからです。

しかし、ファンライドを楽しむ私たちにとっては、それは単なる「不快なノイズ」になり得ます。乗り始めて1〜2時間は「反応が良くて楽しい!」と感じるのですが、3時間、4時間と乗り続けるうちに、蓄積された微振動がボディブローのように効いてきます。手のひらがビリビリと痺れたり(カーパルトンネル症候群のような症状)、首や肩が張ってきたりするのは、この高剛性フレームによる影響が大きいです。

ポジションによる悪循環に注意 TCRはハンドル位置が低くなる設計(低いスタック)です。前傾姿勢を維持するための腹筋や背筋が十分にない状態で乗ると、どうしても腕やハンドルに体重を預けてしまいがちになります。

そうなると、ガチガチのフロントフォークから伝わる衝撃を腕でまともに受け止めることになり、「手が痛くて乗っていられない」という事態に陥ります。「乗りにくい」と感じる人の多くは、実はフレームの硬さだけでなく、このポジションによる荷重バランスの崩れも併発していることが多いのです。

フックレスリムのタイヤ互換性と制約

現代のTCR Advanced Pro 1 Discを購入する上で、最も注意が必要なのがホイールです。標準装備されている「Giant SLR」ホイールシステムには、フックレスリム(Hookless Rims)という最新テクノロジーが採用されています。

従来のホイール(クリンチャーリム)には、リムの内側にタイヤのビード(端っこ)を引っ掛けるための「フック(爪)」がありました。しかしフックレスリムは、その名の通りこのフックを廃止し、リムの壁がストンと真っ直ぐな形状をしています。

メーカー側には多くのメリットがあります。フックを作るための複雑な工程が不要になるため、リムをより軽量に、かつ高強度に作ることができます。また、タイヤとリムの段差が少なくなるので空気抵抗も減らせます。まさに「速さ」を追求するTCRにはうってつけの技術です。

しかし、私たちユーザーにとっては、かなり厄介な側面があります。それは「使えるタイヤが極端に制限される」という点です。

フックによる機械的な引っ掛かりがないため、タイヤが外れないようにするためには、リムの直径とタイヤのビード径がミクロン単位で正確に一致していなければなりません。そのため、Giantは独自の厳しいテストを行い、合格したタイヤだけを「推奨タイヤ(適合タイヤ)」としてリスト化しています。

この「互換性リスト」が曲者です。例えば、「Continental GP5000を使いたい!」と思っても、旧モデルの「GP5000 TL」はダメで、新モデルの「GP5000 S TR」ならOK、といった細かい指定があります。さらに、同じタイヤ銘柄でも「25cはダメだけど28cならOK」といったサイズによる制限がある場合もあります。

絶対厳守のルール

ックレスリムでは、一般的なクリンチャータイヤ(ワイヤービード等のタイヤ)は絶対に使用できません。構造的にビードが伸びやすいため、走行中にタイヤが外れて大事故になる危険があります。必ず「フックレス対応」と明記されたチューブレスレディタイヤを選ぶ必要があります。

「タイヤなんて何でもいいじゃん」と思って適当なタイヤを買ってくると、装着できなかったり、最悪の場合走行中にバースト(破裂)したりするリスクがあります。タイヤ交換のたびにメーカーのWebサイトを確認しなければならないという手間は、間違いなく「扱いにくさ」の一つと言えるでしょう。

厳しい空気圧制限と運用上の難易度

フックレスリムシステムを運用する上で、もう一つ避けて通れないのが空気圧の管理です。これに関しては、これまでのロードバイクの常識を捨て去る必要があります。

ETRTO(欧州タイヤリム技術機構)およびGiantの規定により、フックレスリムに装着したタイヤの最大空気圧は72.5 PSI(5.0 Bar)までと厳格に定められています。

またENVEのタイヤ適合表で「承認/推奨」と記載されている28cと表示された他社製タイヤの多くも、ETRTOの最大定格空気圧の165%以上(72.5psi/5bar)を達成しています。

https://www.cog.inc/enve/archives/7091?srsltid=AfmBOopHBdrF-TSZS1M7pXP1PWKErMXE6OUnAWge01MLCH0-l22qnPT6

長年ロードバイクに乗っている方なら、「えっ、低すぎない?」と思うはずです。かつては「タイヤには7気圧(約100 PSI)入れるのが常識」とされていましたから。しかし、フックのないリムで高圧を入れると、タイヤを保持しきれずにリムから外れてしまう(Blow-off)危険性が高まります。そのため、5気圧という上限は絶対に守らなければなりません。

ここで問題になるのが、「体重が重いライダー」のケースです。

例えば体重が85kgあるライダーが、完成車に付いている25c(25mm幅)のタイヤで乗ろうとしたとします。タイヤが潰れすぎないように適正な空気圧を計算すると、どうしても5.5気圧や6気圧必要になってしまう…というジレンマが発生します。「規定の5気圧まで下げるとタイヤがグニャグニャで走れない、でも上げると危険」という、八方塞がりの状態になってしまうのです。

また、メンテナンスの難易度も高めです。フックレス対応タイヤは、気密性を高めるためにビードが非常に硬く作られていることが多く、タイヤの脱着にはかなりの腕力を要します。ネットのレビューで「親指が破壊されるかと思った」という書き込みを見ることも珍しくありません。

「出先でパンクしたらどうしよう…」という不安、そして「空気圧管理を間違えたら事故になるかも」という心理的なプレッシャー。これらが積み重なって、TCRというバイクを「玄人向けの気難しい機材」という印象にしている大きな要因なのです。

TCR Advanced Pro 1 Discの乗りにくい問題を解消

TCR Advanced Pro 1 Discの乗りにくい問題を解消

ここまで、TCRの「尖った部分」や「扱いにくい部分」を包み隠さずお話ししてきました。「うわ、自分には無理かも…」と思ってしまった方もいるかもしれません。でも、諦めるのはまだ早いです!

実は、これらの「乗りにくさ」のほとんどは、適切なセッティングと少しのカスタムで劇的に解消できます。TCRは素性が素晴らしいバイクなので、手を加えてあげることで「速さ」と「快適さ」を両立した、最高の相棒に生まれ変わらせることができるんです。ここからは、私が推奨する具体的な改善策を紹介します。

ポイント

  • 28cや30cへのタイヤサイズ変更の効果
  • 適正空気圧での低圧運用と乗り心地改善
  • カーボンハンドルやバーテープの振動対策
  • スプロケット交換によるギア比の最適化
  • ブレーキローター径の変更と制動力向上

28cや30cへのタイヤサイズ変更の効果

TCRの乗り心地を改善するために、最も効果的で、かつ最初にやるべきカスタム。それは間違いなく「タイヤを太くすること」です。

多くの完成車には25c(幅25mm)のタイヤが付いてきますが、これを28c(28mm)、あるいは30c(30mm)に交換してみてください。現行のTCR Advanced Pro Discは、最大で32mm幅のタイヤまで飲み込むクリアランス(隙間)を持っています。このキャパシティを使わない手はありません。

タイヤを太くすることのメリットは、単純に「空気がたくさん入る」ことです。タイヤ内部のエアボリュームが増えることで、タイヤ自体が優秀なサスペンションの役割を果たしてくれます。ガチガチに硬いTCRのフレームが路面から拾ってしまう衝撃を、ライダーに届く前にタイヤがむぎゅっと変形して吸収してくれるイメージです。

太くすると遅くなる?

「タイヤを太くすると重くなって遅くなるのでは?」と心配する方もいるでしょう。確かに重量は数十グラム増えますが、近年の研究では、路面の微細な凹凸による振動ロス(インピーダンスロス)が減るため、むしろ荒れた路面では太いタイヤの方が転がり抵抗が低く、速く走れるというデータも出ています。

マウンテンバイクのようなブロックパターンが太いタイヤがおすすめです。ブロックパターンはグリップ力、太いタイヤは荒れた路面でのクッション性に優れています。

サイクルハックより

プロのレースでも28cが標準になりつつあるのがその証拠です。

おすすめは、Vittoriaの「Corsa Pro」やContinentalの「GP5000 S TR」の28c〜30cモデルです。これらのしなやかなケーシングを持つタイヤに変えるだけで、別の自転車に乗っているかのような上質な乗り心地に変わりますよ。

適正空気圧での低圧運用と乗り心地改善

タイヤを太くしたら、次は空気圧のセッティングです。ここで、先ほど「制約」として紹介したフックレスリムの「5気圧制限」が、逆にメリットとして生きてきます。

太いタイヤを履かせれば、低い空気圧でも底付き(リム打ち)しにくくなります。これを活かして、積極的に空気圧を下げていきましょう。

具体的な目安ですが、例えば体重60kg〜65kg程度のライダーが28cタイヤを使用する場合、フロント4.0 Bar (58 PSI) / リア 4.2 Bar (61 PSI) くらいまで落としても全く問題ありません。「えっ、そんなに低くていいの?」と思うかもしれませんが、これが現代のチューブレスレディ運用の正解です。

ここまで空気圧を下げると、タイヤは路面に吸い付くようにグリップし、乗り心地は「モチモチ」とした極上の感触になります。跳ねるような不快な振動が消え、カーブでの安定感も増すため、TCR特有の「神経質なハンドリング」もかなり緩和されます。まるで高級な絨毯の上を走っているような感覚になれるはずです。

適正空気圧を知る方法 SRAMの公式サイトにある「SRAM Tire Pressure Guide」や、Silcaの「Professional Tire Pressure Calculator」などのWebツールを使ってみてください。自分の体重、自転車の重量、タイヤの種類などを入力すると、科学的に推奨される適正空気圧を弾き出してくれます。これを基準に微調整するのが一番の近道です。

カーボンハンドルやバーテープの振動対策

カーボンハンドルやバーテープの振動対策

タイヤで大きな衝撃を吸収したら、次は手元に伝わる微振動(Road Buzz)をシャットアウトしましょう。ここでの主役はハンドル周りのパーツです。

TCR Advanced Proグレードには標準でアルミ製のハンドルが付いていることが多いですが、これをカーボンハンドルに交換するのは非常に有効な投資です。カーボン素材には振動減衰特性があり、アルミ特有の「ビリビリ」とした高周波の振動をカットしてくれる効果があります。Giant純正の「Contact SLR」ハンドルなどが相性抜群ですが、交換するだけでロングライド後の手の痺れや肩こりが驚くほど軽減されます。

「カーボンハンドルは高すぎる…」という方には、バーテープの交換がおすすめです。標準のバーテープは薄手でダイレクト感重視のものが多いので、これを「厚手(3mm以上)」かつ「振動吸収性が高い」モデルに巻き替えましょう。 例えば、「Lizard Skins DSP 3.2mm」や「Supacaz Super Sticky Kush」などは、クッション性が高くグリップ力も最強です。物理的にクッションの層を厚くするだけで、快適性は格段に向上します。

スプロケット交換によるギア比の最適化

「TCRは登りが速いって聞いたのに、実際に坂に行くとキツくて踏めない…」 そんな悩みを持つ方は、エンジンの性能(脚力)不足ではなく、ギアの選択が合っていない可能性が高いです。

TCRはレーシングバイクなので、完成車には「11-30T」という、比較的重めのギア構成のスプロケット(後ろの歯車)が付いていることが多いです。これはプロ選手や脚力のあるライダーが効率よく走るための設定です。

私たち一般ライダーが激坂を楽に登るためには、もっと軽いギアが必要です。そこでおすすめなのが、スプロケットを「11-34T」というワイドレシオなものに交換することです。

34Tという大きなギア(通称:乙女ギアなんて呼ばれたりもしますが、今やプロも使います!)を入れることで、フロントのインナーギア(36T)と組み合わせた時に、ギア比がほぼ1:1になります。こうなると、どんな急な坂道でも、重いギアを無理やり踏み込むことなく、軽い力でクルクルとペダルを回して登れるようになります。

TCRの高剛性フレームは、重いギアで踏み負けると脚への反発が大きくて疲れますが、軽いギアで回すペダリングなら、その剛性が推進力に変わってグイグイ進んでくれます。「踏む」のではなく「回す」ためのギア比変更。これがTCRと仲良くなる秘訣です。

ブレーキローター径の変更と制動力向上

最後に、下り坂での「怖さ」を解消するテクニックです。

TCR Advanced ProのMサイズ以上のモデルでも、フロントのディスクブレーキローターに140mmという小径サイズが採用されている場合があります。140mmは軽量ですが、長い下り坂でブレーキをかけ続けると熱を持ちやすく、制動力が低下したり(フェード現象)、キーキーと異音が鳴ったりすることがあります。

もし下りに不安があるなら、フロントローターを160mmにサイズアップしてみてください(別途アダプターが必要になる場合があります)。

ローター径が大きくなると、「テコの原理」で制動力がアップします。また、表面積が増えるので放熱性も良くなります。これにより、少ない握力でもしっかりと止まれるようになり、ブレーキのタッチもコントローラブルになります。「いつでも確実に止まれる」という安心感は、TCRのクイックな挙動に対する恐怖心を大きく和らげてくれるでしょう。

TCR Advanced Pro 1 Discは乗りにくいか総括

結論として、Giant TCR Advanced Pro 1 Discは「何も考えずにそのまま乗ると乗りにくいけれど、特性を理解して手をかけてあげると最高の相棒になる」バイクだといえます。

確かに、買ってきてそのままの状態で、空気圧も高めのまま乗ると、硬くて、過敏で、気難しいバイクだと感じるでしょう。Defyのような「誰でもウェルカムな優しさ」は、TCRの初期状態にはありません。それは、このバイクが本来、勝利を目指すアスリートのために作られた純粋なレーシングマシンだからです。

しかし、今回紹介したように、タイヤを太くし、空気圧を下げ、ギア比を見直すことで、その角は取れ、驚くほど乗りやすいバイクに変貌します。TCR本来の武器である「軽さ」と「反応の良さ」を残したまま、「快適性」を手に入れることができるのです。

自分好みにセッティングを詰めていく過程、それ自体がロードバイクという趣味の深い楽しみ方でもあります。「じゃじゃ馬を乗りこなす」というプロセスを楽しめる人にとって、TCRは間違いなく価格以上の価値を提供してくれる最高の一台になるはずです。ぜひ、あなただけのTCRに育て上げてみてくださいね。

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