フル電動自転車が捕まったことってあるの?どうなるの?
最近、街でよく見かける「フル電動自転車」、実は使い方によっては意外な落とし穴が待ち構えているかもしれません。便利さと手軽さから人気が高まっているフル電動自転車ですが、実は乗り方を間違えると違法とされ、知らないうちに取り締まりの対象になることもあります。
たとえば、大阪では2009年にフル電動自転車の一斉取り締まりが行われ、多くの人が道交法違反として処罰を受けました。その際、「フル電動自転車にも原付と同じように免許やナンバープレートが必要だ」という認識が広まったものの、未だに違法な車両が販売・利用され、摘発されるケースが後を絶ちません。
とはいえ、フル電動自転車を安全に合法的に楽しむ方法がまったくないわけではありません。法律をよく理解し、公道を走行可能なモデルの条件を満たしていれば、問題なく街乗りを楽しむこともできます。この記事では、「捕まらないためのコツ」から「もし捕まったらどうなるのか?」、「公道走行が可能な条件」まで、フル電動自転車をめぐる法律のポイントをわかりやすくお伝えしていきます。実際の摘発事例や大阪での取り締まりエピソードを交えながら、皆さんが安心してフル電動自転車を楽しめるよう、最新の情報をお届けします。
フル電動自転車が捕まったケース
違法自転車の摘発に遭った
まず一番よくあるケースが違法自転車の摘発に合うこと。日本ではフル電動自転車の違法使用や販売をめぐる取締りが年々厳しくなっています。
フル電動自転車は、ペダルをこがずに電動だけで走行できる「モペッド」と呼ばれるタイプも多く、これは法律上「原動機付自転車」に分類され、免許やナンバープレートの取得が必要です。にもかかわらず、見た目が一般の電動アシスト自転車と似ていることから「合法」として販売されるケースがあり、購入者側も知らずに違法な状態で使用してしまう例が後を絶ちません。
特に近年、京都や大阪ではフル電動自転車の違法販売が目立ち、取り締まりが強化されています。2023年には、京都の自転車販売店「京の洛スク」が摘発されました。この店舗では基準を超えたフルアシスト電動自転車を「合法なアシスト自転車」として販売していたため、「不正競争防止法違反」として書類送検され、後に罰金命令が科されています。この摘発では、国の認可基準を満たさない商品を違法に販売する行為が明らかになり、基準を守らない商品がいかに危険かが問題視されました。
また、2009年には大阪でも違法なフル電動自転車を扱う販売店が摘発されています。この店では、フル電動自転車を購入者に販売する際に、「ペダルを漕いでいるふりをすれば警察に捕まらない」といった説明をしており、道交法違反を助長する行為と判断され、幇助罪の容疑で書類送検されました。このように、違法なフル電動自転車を販売した販売業者が摘発されるだけでなく、それを購入したユーザーも取締りの対象になる場合が増えています。
これらの摘発例は、違法なフル電動自転車が公道を走るリスクの大きさを示しています。購入者が法的リスクを避けるには、店舗で販売されるフル電動自転車が適法かどうかを確認することが重要です。取り締まりの強化に伴い、違法に購入・運転した場合には交通違反や罰則を受けるリスクが高まっているため、安易にフル電動自転車を購入・使用することには注意が必要です。
取り締まりに遭遇:大阪など
そして上で触れたように大阪では2009年にフル電動自転車を対象とした大規模な一斉取り締まりが行われ、大きな話題となりました。
大阪府警は2009年3月27日、フル電動自転車の一斉取り締まりを行った。フル電動自転車の利用者に道交法違反で交通反則切符を切ったのは全国初。フル電動自転車は外見は自転車そっくりだがサドルの下にモーターを搭載。スイッチで作動し、ペダルをこがなくても時速約20キロで走行できる。
https://www.nippon-1.net/cgi-bin/database.cgi?tid=list_kiroku&print=1&equal2=%83t%83%8B%93d%93%AE%8E%A9%93%5D%8E%D4%82%F0%93%B9%8C%F0%96%40%88%E1%94%BD%82%C5%91S%8D%91%8F%89%93E%94%AD
この取り締まりは、見た目は一般的な自転車にそっくりですが、ペダルを漕がずに電動のみで走行できるフル電動自転車が問題視されたことがきっかけです。大阪府警は、このフル電動自転車が公道を走る場合、法律上「原動機付自転車」に分類されるため、運転には免許証、ナンバープレート、ヘルメットの着用が必要だとして違反者に対し一斉に摘発を行いました。
このとき、大阪府警は道交法違反として交通反則切符を切り、多数の利用者に対して前例のない一斉処罰を行いました。この措置により、フル電動自転車は法律上原動機付自転車に分類され、通常の自転車とは異なる扱いを受けることが社会的に認知されるきっかけとなりました。当時、大阪市内ではこれらの電動自転車が雑貨店やインターネット通販で3~7万円程度で販売され、少なくとも数百台が出回っていたと言われています。
フル電動自転車が急増していた背景には、一般の電動アシスト自転車よりも安価で手軽に入手でき、免許なしで公道を走行できると誤解されていたことが影響しています。しかし、実際にはペダルをこがなくてもモーターだけで走行できるフル電動自転車は、法的には原動機付自転車とみなされるため、無免許や未登録での使用はすべて違法行為とされます。
この一斉摘発をきっかけに、フル電動自転車の取り締まりは厳格化の一途をたどりました。警察庁はその後も全国の自治体と連携し、こうした違法車両が出回らないように取り締まりを続けています。さらに2024年には、電動キックボードを含む電動モビリティの規制が強化され、フル電動自転車やその他の電動アシスト車両についても、より厳しいルールが施行される予定です。これは、電動モビリティの普及に伴う新たな交通安全対策の一環で、全国で違法な電動自転車に対する取締りが一層強化される見通しです。
法律改正を知らなかった
2023年7月、電動キックスクーターなどの「特定小型原動機付自転車」に関する新しい規定が施行され、免許不要で一部の電動モビリティが公道を走行できるようになりました。
令和5年(2023年)7月1日から、電動キックボードなどに関する改正道路交通法が施行されました。これまで電動キックボードは、いわゆる原付バイク又は自動車と同じ扱いで、運転免許が必要でした。それが道路交通法の改正により、一定の基準を満たす電動キックボードは、「特定小型原動機付自転車」と定義され、16歳以上であれば、運転免許がなくても運転ができるようになりました。
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202306/2.html
この改正は電動キックスクーターなどに焦点を当てており、新たに定められた条件に合致した車両のみが対象です。たとえば、電動キックスクーターは車両の速度やサイズ、出力などの規定をクリアし、保安基準を満たせば免許がなくても運転可能です。これにより、特定の条件下で電動キックスクーターの利用が認められましたが、この免許不要の制度は全ての電動モビリティに適用されるわけではありません。
フル電動自転車の場合は法改正の対象ではなく、原動機付自転車(いわゆる「原付」)として扱われるため、公道走行には免許、ナンバープレートの取得、ヘルメット着用などが必須です。しかし、この改正内容を誤解したユーザーが、「電動アシスト自転車やフル電動自転車も免許不要で利用できるのではないか」と思い込んでしまい、改正後も従来のように無免許で使用した結果、摘発されるケースが出ています。
また、フル電動自転車を販売する一部の店舗や通販業者も「免許不要」「アシスト自転車と同様に利用可能」と誤解を与えるような宣伝をしていることがあります。こうした宣伝を信じ、フル電動自転車を購入したユーザーが、改正内容を正確に理解しないまま無免許や未登録の状態で公道を走行し、警察に止められた際に違法であることを初めて知るというケースが発生しています。
さらに、ペダルがついていることで「自転車」として問題なく走行できると考えてしまう人も少なくありません。特に2024年から施行される新たな規制でフル電動自転車への取締りはさらに厳しくなるため、「知らなかった」「誤解していた」という言い訳が通じないケースが増加すると予想されています。
捕まったらどうなるか
フル電動自転車を法律に反して運転した場合、いくつかの罪名で処分が科される可能性があります。違法使用が確認された場合、主に「道路交通法違反」として処罰され、ケースによっては「不正競争防止法違反」や「詐欺罪」などが適用されることもあります。以下、代表的な罪名と罰則内容を解説します。
1. 道路交通法違反
フル電動自転車は「原動機付自転車」に分類されるため、原付バイクと同様、免許の取得、ナンバープレートの装着、ヘルメット着用が必要です。しかし、これらの条件を満たさず公道を走行した場合、以下の罰則が科されます。
- 無免許運転:免許なしで運転した場合は、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
- ナンバープレート未装着:原付扱いであるため、ナンバープレートをつけずに運転した場合も違反となり、50万円以下の罰金が科される可能性があります。
- ヘルメット未着用:ヘルメット未着用は比較的軽い違反ですが、事故を起こした場合には重加算される場合があり、反則金が課されることもあります。
通常、これらの違反行為が一度確認された場合は、道路交通法に基づき「交通反則切符」が交付され、反則金の支払いを求められます。しかし、無免許運転やナンバープレート未装着といった重大な違反が重なった場合、反則金だけで済まず、刑事処分が下されることもあります。
2. 不正競争防止法違反
フル電動自転車を違法な状態で販売した業者には、「不正競争防止法違反(誤認惹起)」の罪が問われる可能性があります。たとえば、2023年に摘発された京都の「京の洛スク」のケースでは、基準を超える動力を持つフル電動自転車を、合法な電動アシスト自転車として販売していたため、この不正競争防止法違反で書類送検されました。
- 不正競争防止法違反(誤認惹起):誤解を招く商品表示で顧客に誤認させた場合、懲役または罰金が科される可能性があり、場合によっては30万円以上の罰金が課されることがあります。
3. 詐欺罪
悪質な業者が、あえて違法なフル電動自転車を合法だと偽り販売する場合には、「詐欺罪」に問われることもあります。詐欺罪が適用されるとさらに厳しい刑事罰が科されるため、違法と知りながら購入者に「合法」と誤解させた場合、刑事告訴に発展する可能性もあります。
- 詐欺罪:他者を欺いて経済的利益を得た場合に成立し、10年以下の懲役という厳しい処罰が科されます。
4. 購入者にもリスク
違法なフル電動自転車を購入し、公道で運転した場合、購入者も「道路交通法違反」として摘発される可能性があります。特に、無免許運転や、ナンバープレート未装着で公道を走行した場合は、重い処罰を受けるリスクが高くなります。大阪での2009年の取り締まりでは、多数の利用者が交通反則切符を切られ、反則金を科されました。また悪質な運転者やリピート違反者に対しては、厳しい刑事処罰が科されることもあります。
なぜ取り締まられない人がいる?
フル電動自転車が違法であるにもかかわらず、取り締まりを受けないケースがある理由は、主に外見から違法かどうかを判断しにくいことが挙げられます。
フル電動自転車は合法な電動アシスト自転車と非常によく似た外観を持っており、警察も見ただけでは違法かどうかを見分けられないことが多いのです。合法な電動アシスト自転車はペダルの力をモーターが補助する形で速度を制限していますが、フル電動自転車はペダルを漕がなくてもモーターだけで走行できるため、見分けには実際の動力仕様を確認する必要があり、これが困難を伴う原因となっています。
さらに、警察の取り締まりが強化されるのは、違反行為や事故が契機となる場合が多いため、目立った交通違反をせずに公道を走行しているだけでは、摘発されにくい傾向があります。たとえば、速度超過や信号無視といった違反行為や、事故処理の際に初めて違法なフル電動自転車であることが発覚する場合が多いため、通常の走行中に取り締まられる機会は限られています。
そのうえ、電動モビリティの多様化が進む中で、フル電動自転車に対する警察の取り締まり体制が必ずしも整備されていないという実態も影響しています。電動アシスト自転車、フル電動自転車、電動キックスクーターなど、新たな車両が次々と登場する現状に法制度が追いついておらず、取り締まりの基準が十分に周知されていないことが取り締まりの難しさにつながっているのです。
また、2023年7月の法改正で一部の電動キックスクーターなどに免許不要で公道を走行できる新しい規定が設けられましたが、これがフル電動自転車には適用されないという点が混乱を招いています。この改正によって「電動であれば免許不要」という誤解が広まったことから、法律違反だと認識しないままフル電動自転車を運転している人が増えた結果、警察も運用面で困難に直面していると考えられます。
フル電動自転車で捕まったことがない人の乗り方
フル電動自転車は免許やナンバー登録、保安装置が義務付けられているため、通常の電動アシスト自転車や軽車両とは異なり、取り締まり対象になることがあります。
しかし、実際には取り締まりを受けずに使用している人もおり、その背景には法的要件を満たしているケースや、車両特性によって発覚を逃れているケースがあると考えられます。ここでは、取り締まりを受けないケースや使用上のポイントについて解説します。
捕まらないケースは?
フル電動自転車で取り締まりを受けないケースには、主に法的要件を満たしている場合や、違反の発覚が少ない場所や状況で使用している場合が挙げられます。まず、フル電動自転車は道路交通法上「原動機付自転車」に分類されるため、公道を走行するには原付免許の取得、ナンバープレートの装着、ヘルメットの着用が必要です。これらを適切に整え、法的要件を満たした状態で運転している場合、取り締まり対象外となり捕まらない使用が可能になります。
さらに、一部の「ペダル付き原付」のような合法なモデルは見た目が一般的な自転車とほとんど区別がつかないため、警察にとっても違反かどうかを判断しにくい場合があります。
このため、フル電動自転車に乗っていても交通違反や事故などの明確なきっかけがない限り、警察が注意や確認をしない場合も多く、結果的に捕まらずに乗り続けられるケースが出てきます。
公道可能なモデルに乗っている
フル電動自転車の中には、日本の道路交通法の基準を満たし、正規の手続きを行えば公道走行が可能なモデルも存在します。これらのモデルには、速度やモーターの出力が制限されており、通常「原付一種」または「原付二種」に分類されるため、公道を走る際には原動機付自転車として扱われます。このような車両には、ナンバープレートの取得と取り付け、自賠責保険への加入が義務付けられており、加えて走行時にはヘルメットの着用も必須です。
たとえば、原付一種のフル電動自転車であれば、最高速度が時速30キロに制限され、普通免許または原付免許が必要です。また、原付二種に分類されるモデルではさらに出力が高く、運転には二輪免許もしくは普通免許が求められます。これらのモデルは、保安部品(ウィンカーやバックミラー、ブレーキランプなど)の設置も義務であり、これにより安全基準を確保した状態で公道を走行できるように設計されています。
公道可能なフル電動自転車に乗っている場合は、これらの法的基準を満たしているため、違反行為や事故を起こさない限り、警察に止められても捕まる心配がありません。さらに、道路交通法を守った状態で走行するため、正規の手続きを経たモデルであれば、安心して運転できるのも大きなメリットです。したがって、こうした車両に乗ることは、結果的に「捕まらない」安全な乗り方につながります。
免許不要モデルに乗っている
2023年の法改正によって、一部の電動キックスクーターや小型フル電動自転車が「特定小型原動機付自転車」に分類され、特定の条件を満たすことで免許不要での公道走行が認められるようになりました。この「特定小型原動機付自転車」には、速度や出力、車体サイズなどの厳密な基準が設けられており、該当する車両であれば、免許なしで走行が可能です。
具体的な要件として、最高速度が時速20キロ以下であること、車体の大きさが長さ190センチ以下、幅60センチ以下であること、そして定格出力が0.6キロワット以下であることが求められます。この基準を満たした車両は、通常の自転車のように免許不要で運転できますが、ナンバープレートを取得して取り付けることが義務付けられています。
ただし、免許不要モデルであっても、他のフル電動自転車と同様に保安部品を備える必要があります。たとえば、ウィンカー、速度計、バックミラー、前照灯、ブレーキランプといった保安部品の装備が必要で、交通ルールに従った運転が求められます。これらの要件を満たさない場合には、法律違反とみなされる可能性があり、違反に対する罰則の対象となります。
したがって、免許不要モデルの使用者は、これらの基準をきちんと満たした状態で利用すれば、法的に安心して公道走行が可能です。しかし、基準を満たしていない車両や装備が不十分な状態で運転することは、取り締まりのリスクがあるため、注意が必要です。
バレない可能性はある?
フル電動自転車は、一般の自転車や電動アシスト自転車と外見が似ているため、見ただけでは違法な仕様かどうかを判断しにくいことがあり、結果として取り締まりを逃れるケースも見られます。また、違法なフル電動自転車でも、交通違反や事故などのきっかけがなければ警察に止められることも少なく、取り締まりを受けずに使用されることが多いです。
ただし、違法車両であることが発覚した場合には、無免許運転やナンバープレート未装着といった道路交通法違反で厳しい処罰を受けるリスクがあるため、違反状態での使用は非常に危険です。安全にフル電動自転車を使用するためには、法的な基準を守ることが重要です。
ステルスバイクってなに?
「ステルスバイク」とは、見た目が一般の自転車に非常に近いものの、高出力のモーターを搭載し、ペダルを漕がずに高速走行が可能なタイプのフル電動自転車を指す通称です。たとえば、オーストラリア製の「ステルス・B-52」などは世界的に有名なモデルで、最高時速80キロメートルを実現する性能を持ち、充電時間が短く、長距離走行も可能なモデルとしてオフロード愛好家に人気があります。
しかし、このような「ステルスバイク」は日本の道路交通法では原付以上の扱いとなり、免許やナンバープレート、保安部品の取り付けが必要です。日本の公道では違法とみなされる場合が多く、もし公道を走行した場合、取り締まりや高額な罰金の対象になります。そのため、ステルスバイクを所有する人は、オフロード専用のイベントや私有地での利用にとどめ、公道走行は避けることが推奨されています。