パナソニックが自転車事業から撤退するって本当?
「パナソニックが自転車事業から撤退するかも?」という話題がネットや一部のニュースでちらほら聞かれるようになりました。しかし、この噂は誤解です。むしろパナソニックは自転車事業に力を入れて拡大中なんですよ。
例えば、通勤や買い物に便利な電動自転車「ビビ(ViVi)シリーズ」は、家庭用電動アシスト自転車の代表格として長年支持され続けていますし、軽量設計や多彩なカラーで人気を集めています。また、本格的なサイクリング愛好家向けにカスタムできる「オーダーシステム(POS)」も好評で、ロードバイクの愛好者が自分だけの一台を作れるシステムが支持されています。
ただ、ここ数年で値上げやバッテリーリコールもあったため、「もしかして事業縮小…?」と感じた人もいるかもしれません。この記事では、そんな撤退の噂の背景やパナソニックの自転車事業の実態について、詳しくお伝えしていきます。
パナソニックが自転車市場から撤退!?
事業廃止はガセネタ
「パナソニックが自転車事業から撤退する」という話が一部で聞かれることもありますが、これは完全に誤解です。むしろパナソニックは、長年培ってきた技術やブランド力を活かして、自転車事業をしっかり拡大しています。
パナソニック子会社、電動自転車シェア「26年にも参入」
パナソニック子会社で電動自転車を製造するパナソニックサイクルテック(大阪府柏原市)は、2026年にも電動自転車のシェアリングサービスを始める。マンション内に居住者が自由に乗れる電動自転車を設置する。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF221DK0S4A420C2000000/
このように2024年現在でも26年に向けた新事業を開始しており、撤退とは無縁の状態です。
そんなパナソニックが特に力を入れているのが、国内外での需要がぐんぐん高まっている「電動アシスト自転車」の分野です。パナソニックの電動アシストモデルは、使いやすさと先進機能が人気で、ユーザーからの評価も高いんですよ。たとえば、通勤・通学にも便利なスポーツタイプや、子育て世代にとても人気の「Gyutto(ギュット)」シリーズなど、利用シーンに合わせたラインナップが充実しています。
さらに、パナソニックは自社ブランドだけでなく、ヨーロッパ市場へ電動アシストの部品を輸出したり、アメリカでは他社のブランドでパナソニックの完成車を販売する「OEM供給」も積極的に行っています。こうした多方面への展開により、今後も成長が期待される市場に向けた戦略を着実に進めているんですね。
撤退どころか、むしろ拡大モード全開のパナソニック。今後もユーザーの幅広いニーズに応えながら、新しいモデルや機能の追加が楽しみです。
スポーツタイプなどの一般自転車の売上好調
年度 | 売上(億円) | 備考 |
---|---|---|
2018年 | 314 | スポーツ自転車展開強化開始 |
2019年 | 342 | 電動MTBなどの「XMシリーズ」発売 |
2020年 | 368 | 国内外での需要が増加 |
2021年 | 389 | 特にスポーツ向けの新モデルが支持 |
2022年 | 446 | 電動アシストの機能向上で売上拡大 |
2023年 | 447 | 一般自転車市場でのシェアも拡大中 |
パナソニックの一般自転車、特にスポーツタイプのモデルは近年ますます注目を集め、売上も好調です。例えばクロスバイクや電動マウンテンバイク(MTB)では、「XMシリーズ」が高く評価されています。このシリーズは、特に国内外で評価が高く、悪路や坂道を楽々と走行できるパワフルな電動アシストを備えているため、サイクリングファンからの支持が集まっています。高価格帯にもかかわらず、「XMシリーズ」はパナソニックの技術と品質を背景に多くの支持を獲得し、売上にも大きく貢献しています。
「XMシリーズ」は、坂道や険しいオフロードでも優れた走行性能を発揮するよう設計されており、前後にサスペンションを搭載。これにより、体への負担を抑えつつ安定した走行を可能にしているため、アウトドア愛好者や中高年の方にも人気です。さらに、女性や高齢者向けには、乗り降りのしやすさや取り回しの良さを意識した設計がされており、幅広い層の需要を掘り起こしている点も特徴です。
また、パナソニックのスポーツ自転車は国内外での展開が進んでおり、日本国内はもちろん、海外でもパナソニックブランドの信頼性から売上拡大が期待されています。
ビビシリーズなどの電動自転車の売上好調
電動自転車の中ではパナソニックの「ビビ(ViVi)シリーズ」は、代表格として圧倒的な人気を誇っています。特に「ビビ・DX」は、買い物や通勤といった日常の移動手段として非常に使いやすい設計が特徴で、主婦層や年配のユーザーを中心に支持されています。軽量設計や多彩なカラーバリエーションが揃っており、こうした工夫が女性ユーザーの心をつかんでいるのもポイントです。
パナソニックは国内の電動アシスト自転車市場でシェア54%を確保しており、特に「ビビ」シリーズの売上が大きく貢献しています。これにより、国内市場でのトップシェアを長く維持しており、販売台数も年々増加しています。電動アシスト自転車が必要不可欠となりつつある日常生活において、パナソニックはユーザーの細かなニーズをしっかりと捉えた商品展開を行っています。
さらに「ビビシリーズ」は通勤や買い物用のモデルだけでなく、スポーツタイプも揃えており、幅広いユーザー層に対応しています。その中でも特に注目なのが、子ども同乗用の「Gyutto(ギュット)」シリーズ。
パナソニックサイクルテックの幼児同乗タイプの電動アシスト自転車「Gyutto(ギュット)」シリーズは、子どもを乗せたり降ろしたりする負担が軽いことが好評で、年間販売台数は発売開始の2011年度から4倍に増えた。
https://www.yomiuri.co.jp/local/kansai/feature/CO073996/20240508-OYTAT50038/
このシリーズは子どもを乗せやすく、安全性にも配慮した設計が特徴で、育児世代に圧倒的な人気があります。従来の自転車よりも重心が低く、安定感があるため、子どもを乗せた際の転倒リスクも少なく、安心して使用できる設計です。
また、「Gyutto」シリーズはただ子どもを乗せるだけでなく、便利な機能も満載です。例えば、駐輪時にハンドルがぐらつかない工夫や、チャイルドシートの改良による子どもの乗せ降ろしのしやすさなど、日々の使いやすさを重視したデザインが盛り込まれています。
2024年度の電動自転車のカタログも豊富
さらにこの根拠のひとつとして、2024年度のパナソニック自転車カタログが非常に豊富である点が挙げられます。最新カタログには通勤・通学向けモデルや家族向けの幼児同乗モデル「Gyutto(ギュット)」シリーズ、さらにスポーツ志向の電動アシスト自転車まで、幅広いニーズに対応した新しいモデルが多くラインナップされています。
また、パナソニックは新機能の追加にも注力しており、コンパクトでエレベーターに対応できる「ViVi S18」や、通学向けの「Tiemo」シリーズなども新たに展開。さらに「スグマイル」という24時間対応のロードサービスも開始するなど、ユーザーサポートも強化しています。
こうしたモデル展開とサービスの充実ぶりから、パナソニックはむしろ自転車事業に積極的に取り組んでいると言え、ますます撤退の噂はガセネタだということがわかりますね。
ロードバイクのオーダーシステムも好評
パナソニックの「オーダーシステム(POS)」は、ロードバイク愛好者に非常に人気が高く、他社にはないこだわりのカスタマイズを実現できるのが最大の魅力です。
POSでは、ユーザーの体格や使用目的に合わせて、細部まで自分好みに設計できるため、「本当に自分に合った一台」を手に入れることが可能です。以下、POSの特徴をさらに詳しく見ていきましょう。
1. 最適なフレームサイズとパーツ選択
POSでは、ユーザーの身長や体格、体力に合わせたフレームサイズを選べるだけでなく、フレーム形状やパーツの選択肢も豊富に用意されています。これにより、快適さとパフォーマンスの両方を兼ね備えたロードバイクに仕上げることができます。例えば、ロードバイクの用途に応じて、カーボン、クロモリ、チタンといった異なる素材のフレームが選択でき、軽量化を重視するか、耐久性や乗り心地を重視するかといった細かな要望に対応しています。
2. 約9万通りのフレームカラー選択
POSの特徴のひとつは、豊富なカラーバリエーションです。基本色だけでも33色が揃っており、そこから組み合わせを選ぶことで約9万通りのカスタムカラーが可能。自分の好みや個性を反映した一台に仕上げられるため、唯一無二のバイクが手に入ると評判です。さらに、単なる色選びだけでなく、艶やかさや質感の選択も可能なので、デザイン性に強くこだわりたいユーザーにもぴったりです。
3. 日本国内での製造と品質管理
パナソニックのロードバイクは、全ての製造工程が日本国内で行われることでも高い評価を得ています。国内の熟練した職人がフレームの溶接から塗装、組み立てまでを担当し、徹底した品質管理のもとで作り上げられるため、細部までこだわった高品質なバイクに仕上がります。特に、耐久性と精密なつくりを求められるロードバイクの分野では、こうした職人の技術と国内生産の信頼性が人気の理由の一つです。
パナソニックが自転車市場から撤退するという噂の原因
値上げされた
パナソニックは、ここ数年で電動アシスト自転車の価格を相次いで改定しており、特に2024年モデルの多くが値上げされています。この背景にはいくつかの要因があります。
まず、素材費と輸送費の高騰です。自転車のフレームに使われるアルミニウムや鉄、電動アシストに必要なバッテリーのリチウムなど、部品の原材料費が近年大幅に上昇しています。また、国際的な輸送コストも高くなっており、これが製品価格に直接影響を及ぼしています。
次に、為替レートの影響です。円安が進んだことによって輸入コストが増加し、特に自転車に使われる部品や材料が海外から調達される場合、そのコスト増が価格に反映されています。
また、新型コロナ禍における自転車需要の急増も一因です。人々が密を避けた移動手段として自転車を選ぶようになったことで需要が高まり、これに応えるためにパナソニックは工場設備や生産ラインに多額の投資を行いました。2021年には、主力工場の生産能力を3割増強し、年間生産量を約38万台に拡大しましたが、この投資によるコスト増加も価格に影響しています。
こうした背景から、2024年には平均4%の値上げが行われました。
パナソニックは電動アシスト自転車の主力工場の生産能力を3割増強した。投資額は15億円超で、年間約38万台の生産が可能になる。2021年10月~22年2月の商品刷新に合わせて15車種で平均4%値上げする。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF115XE0R11C21A0000000/
これが市場において「価格が上がり続ける=事業運営が厳しい」と受け取られたことで、一部の消費者が「パナソニックが自転車市場から撤退するのではないか」といった憶測を抱く原因にもなっていると考えられます。
電動自転車のリコールがあった
パナソニックは2024年4月、2015年から2017年に製造された電動自転車用バッテリーパックに発火の危険性があるとして、大規模なリコールを発表しました。
パナソニック サイクルテック株式会社は、2015年1月から2017年7月に製造されたバッテリーから発煙・発火するおそれがあることが判明したため、事故防止のためにバッテリーの無償交換を行います。対象のバッテリーには、電動アシスト自転車の一部機種に搭載したものと補修用に販売したものがあります。
https://panasonic.co.jp/pct/info/ex/?utm_source=google&utm_medium=cpc&utm_campaign=gsn_recall&gad_source=1&gclid=Cj0KCQjwsoe5BhDiARIsAOXVoUsa526xOjlBs6JQH4I7Ujdf0QzDEU424jUOY3M_1l34IFevOPw5B9kaAjQREALw_wcB
今回のリコール対象は約14万個に上り、該当するバッテリーを無償で交換する措置が取られています。事故防止のためのリコール発表は企業としての安全配慮を示すものですが、特に電動自転車のバッテリー問題は製品の信頼性や安全性に直結するため、企業イメージに与える影響が大きく、「リコールが頻発すると事業維持が難しいのではないか」という懸念が生まれる原因のひとつとなっています。
今回のリコールは過去の製品を対象としていますが、実際には過去にも同様のリコールが複数回行われてきました。例えば、2020年には別のバッテリーパックについても発火事故の危険性が報告され、同様にリコールを実施しました。このように、過去数年間で繰り返しリコールが行われていることが、「リコールが続いている企業は事業に問題があるのではないか」「製品の信頼性が低下しているのではないか」という消費者の不安を招く一因となっています。
また、リコールの手続きには交換用のバッテリーや放電器の送付、古いバッテリーの返送など、手間とコストがかかるため、こうした負担が企業の財務状況や経営への圧力になりかねないという見方もあります。このような背景から、リコール発表が続くと、「パナソニックが電動自転車市場から撤退するのでは?」という噂が生じやすくなると考えられます。
苦戦しているニュースはあった
パナソニックの自転車事業は、過去に経営上の苦境に立たされた時期がありました。2000年代以降、国内自転車市場が縮小し競争も激化する中で、パナソニックの自転車事業は利益率が低下し、一時は事業撤退も検討されたことが報道されています。
。同社の自転車事業は停滞が続き一時は撤退も検討されたが、電機メーカーの強みを生かせる電動化に勝機を見いだし、世界の電動自転車ブームに乗って反転攻勢に出ている。
https://www.sankei.com/article/20190311-INMFKHC67JMYJAFI4KPKVW6CYY/#:~:text=%E3%80%8C%E7%A5%96%E6%A5%AD%E3%80%8D%E3%82%92%E5%86%8D%E8%88%88,%E9%81%8E%E5%8E%BB%E6%9C%80%E9%AB%98%E3%82%92%E6%9B%B4%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%9F%E3%80%82&text=%E3%82%B8%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%AB%20%EF%BC%9A,%E7%B5%8C%E6%B8%88
この報道は、「パナソニックが自転車事業から撤退するかもしれない」というイメージを一部のユーザーに残し、その印象が現在も影響していると考えられます。
しかし、近年では国内外での電動アシスト自転車需要の高まりに対応し、パナソニックは事業を大きく見直し、攻勢に転じています。特に、成長著しい欧州市場での需要に応えるため、電動駆動ユニットの部品供給を強化し、スポーツタイプやマウンテンバイクの製品ラインアップにも注力。欧州は中高年層のサイクリング人気が高く、電動マウンテンバイク(MTB)やスポーツ電動自転車が急成長している地域であり、パナソニックにとっては電動アシスト技術を活かす新たな拡大市場となっています。
こうした欧州市場への対応や、アメリカ市場におけるOEM(相手先ブランド供給)事業など、積極的な展開によりパナソニックは自転車事業を強化しているものの、過去の苦戦や撤退検討に関するニュースが長く印象に残り、「やはり自転車事業は苦しいのではないか」と感じるユーザーも少なくないようです。このことが、撤退の噂を呼ぶ背景の一因となっています。
逮捕者でイメージが悪化した
2024年10月、大阪府警はパナソニックのロゴを無断で使用した電動アシスト自転車の改造部品を販売した容疑で5人を逮捕しました。この事件は、商標法違反として摘発され、5名が違法行為に関与した疑いで逮捕または書類送検されています。改造された部品は、通常の電動アシスト自転車の速度制限を無視し、高速走行を可能にするもので、一般的な電動アシスト自転車の仕様を大きく逸脱するものでした。
電動アシスト自転車の改造部品に大手メーカーのロゴをつけ、フリーマーケットサイトなどに出品したとして大阪府警は17日、商標法違反の疑いで大阪府東大阪市の会社員の男(52)ら3人を逮捕、東京都世田谷区の無職の男(62)ら2人を書類送検したと発表した。
https://www.sankei.com/article/20241017-FXIP7F57CNL7FNMGT6TWOW6HNE/
パナソニックはこの事件に直接関与していないものの、違法な改造部品に同社のロゴが使用されたことで、ブランドイメージへの影響が避けられませんでした。ニュース報道では、改造された電動自転車が時速50キロ以上に達するケースもあるとされ、事故リスクへの不安が強調されました。安全性を重視する電動アシスト自転車市場において、こうした改造部品の存在は「危険な改造」による事故リスクと結びつき、パナソニックが本来提供する製品のイメージに対しても間接的なダメージを与えました。
特に、ユーザーや消費者の多くは、改造部品が公式に認められていないことや、正規製品との違いを区別しにくいため、ロゴが出てくるとどうしてもブランドそのものに不安を抱くことがあります。これにより、パナソニック自転車の安全性や信頼性に疑問を持つ声が増え、「こうしたネガティブな話題が続くなら、パナソニックは自転車事業から撤退するのでは?」という噂の一因となりました。